Sinheikemonogatari 2 Jihigenka
Jihigenka慈悲喧嘩
その夜おそく、頼盛は、洛北のわが屋敷へ打ちしおれて、騎馬で帰ってきた。禅尼は、寝もやらず、その返事を、待っていた。「だめでした。とても、受けつけもなさりません。……それに、六波羅殿の不きげんなこと、何が、日ごろの胸におつかえなのかと、怪しまれるほどな御雑言なのです」「この尼のことをか」「いえ。わたくしへも、当り散らすのです。なんとなく」……「頼朝の助命は、どうしても、きき入れてくれそうもないか」「もうおよしなさい。妙に、疑られても、つまりません。六波羅殿を、怒らすだけのものですから」二月十三日、あと幾日もない。その日には、いやおうなく、ここをひき出して、打ち首にしなければならないことを、宗清はまだ、頼朝に、聞かせていなかった。(p92)
頼朝は絶体絶命の危機を迎えていた。
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