inu-daisukiのブログ

 犬好きです。いろんなことに挑戦しています。英語、中国語、フランス語、韓国語、カラオケ、健康体操、野鳥観察、文学、哲学書・宗教書を読む、認知症サポーター、地域コミュニティーの在り方、図書館の在り方、老人会(寿会)の在り方探索、国際交流、短歌、俳句、川柳、各紙への投稿等々……。しかし、どれも中途半端なので、最近は、とりあえず英語が流暢に話せるようになるため、多くの時間をかけています。

Sinheikemonogatari 2 Matukazedayori

Matukazedayori松風便り
 新院は思い出された。御運命のかくなる前に、都の柳ノ水の御所で、麻鳥に約された一言を――である。(月のよい晩に、おまえの横笛を聞いてみたいね)麻鳥はその約束を、いつかと、誓っていたに違いない。海をこえ、危険を冒、これまで来るには、どれほど辛苦に耐えて来たこどだろう。……かれは、言葉をもっていうかわりに、そこで、横笛を吹いた。笛は、心から心へ、言葉以上なものを語りかける。細やかな感情は持たない番の田舎武者たちすら、なぜということもなく、みな涙を垂れた。――屋の内仄暗がりに寄り合うていた佐の局や女房たちはいうもおろかである。なおさら、新院の御感動はいうまでもない。(p229~230)
 絶望の淵に立たされた人たちの心を麻鳥の笛は震えさせた。まさに、音楽の力は言葉よりもすごい。