Sinheikemonogatari 2 The emperor and Asadori
The emperor and Asadori陛下と麻鳥
”新院御むほん”のことは、かれも早くに知っていた。御所の留守居も、町の者も、疾くに、争って避難してしまったが、麻鳥だけは、水守小屋をさらなかった。――といってお、宮廷や権臣間の、内情などは、もとよりうかがい知るところのかれではないが、新院のお立場や行く末を案じるとき、かれは、悲しまずにいられなかった。――あの、おやさしい陛下、お人のよい陛下、下の者にもわけ隔てなく慈愛にみちておられる陛下が、どうして、戦争の主謀者などにおなりになったのか。――麻鳥は、地だんだ踏んで、陛下のために、悔むのだった。(p112)
人間はどうして殺し合いをするのだろう。権力者が愚かだからだ。それにしても麻鳥の無心の行為に胸打たれる。
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