Sinheikemonogatari 1 Nail
Nail釘
――二年前の、仁平三年の正月ごろ、清盛の父・刑部卿平ノ忠盛は、日ごろ、持病とてもなかったのに、年の暮から、ふと風邪ぎみで寝ついたまま、正月十五日、年五十八を一期として亡くなった。……敵手の信西の顔は、笑っている。「……どうだ。愛宕天狗、いや父子天狗。……痛いだろう。右の眼の釘、左の眼の釘。……だが、なお知るまい。信西の打った釘とは」……そなたも出来したと、助演者の妻の手功を、ほめそやしたに違いない。(p396~405)
まるで推理小説でも読むように信西の仕掛けた罠に、頼長は突如、法皇から遠ざけられ、父の忠実も、参内も停められてしまった。それが天狗の釘だった。
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。