inu-daisukiのブログ

 犬好きです。いろんなことに挑戦しています。英語、中国語、フランス語、韓国語、カラオケ、健康体操、野鳥観察、文学、哲学書・宗教書を読む、認知症サポーター、地域コミュニティーの在り方、図書館の在り方、老人会(寿会)の在り方探索、国際交流、短歌、俳句、川柳、各紙への投稿等々……。しかし、どれも中途半端なので、最近は、とりあえず英語が流暢に話せるようになるため、多くの時間をかけています。

Sinheikemonogatari 1 Genjinooyako・heishinooyako

Genjinooyako・heishinooyako源氏の父子・平氏の父子
 その日。――義清は、無二の郎従、源五兵衛季正という者に、歌の詠草を持たせて、待賢門院の局へ、使いにやっていたのである。待賢門院は、天皇崇徳の御母、藤原璋子。つまり鳥羽上皇の皇后である。……歌に寄せて、ここの便りを、源五兵衛に持たせてやったものである。……何しても、義清は、矢のように、六条堀川へ心が急いでいた。……けれど、六条判官為義なる人に会ってみると、恐がられているうわさとは、まるでちがう。……「……いや、よく分かりました。さっそく、調べさせましょう。さもなくてさえ、院の武者所と、こっちの武者どもとは、つねに、にらみおうているなどと、世評もうるさいおり、もし仔細なくして、お召使を、投獄したものとあれば、捨ておきがたい曲事です。――おういっ、義朝」……呼ばれて来た次男は、まだ二十歳にみたない小冠者だったが、為義は、部下の乱暴は、なんじの罪であるとしかった、座を立つやいな、縁から内庭へ、蹴落した。……平太清盛が、時子と結婚したのは、その年の十二月だった。……後朝のわかれも、なかなか、恋に似て、恋よりふかい。二人だけには、鳥の音も、霜のこずえも、この世は、そのまま詩であった。……と、日ごろ、父の目をくらまして飼っていたこの小冠者が秘蔵の軍鶏――例の街の鶏合わせでよく勝って来る獅子丸を、なんの惜しみもなく、自分でひねって、清盛のまえに、提げて来た。……清盛は、あきれ顔だった。(p198~205)
 為義の人柄、清盛と時子との結婚と作者の筆は滑らかに進んでいく。