Dostoevsky 'Brothers of Karamazov'First volume 21
「広小路にきわめて広壮な、快適な家を借りているカテリーナのところへアリョーシャが向ったときは、すでに7時で、暗くなりかけていた。……アリョーシャは玄関に入り、ドアを開けてくれた小間使に取次ぎを頼んだとき、広間ではもう彼の来訪を知っていたようだったが、(たぶん、窓からでも見かけたのだろう)、アリョーシャはふいに何か騒がしい気配を耳にし、女性の走る足音や、衣ずれの音がきこえただけだった。どうやら2,3人の女性が部屋から走りでていったらしかった。……アリョーシャは客とかち合ったことの思いあたり、眉をひそめた。……『兄の使いで来たんです……』『まあ、お兄さまのお使いですって。あたくしもそんな予感がしてましたのよ。……それじゃ、どんな用事でお兄さまがあなたをここへよこしたのか(あなたをお使いによこすってことは、ちゃんとわかっていましたわ!)簡単に、ごくかいつまんで話してくださいませな!
』『あにはあなたに……よろしく、もう二度と伺わないから……よろしくということでした』……その言葉を強調なさったことは、単なる空元気を意味しているのかもしれませんわね……『そうです、そうですとも!』アリョーシャは熱っぽく相槌を打った。……『だとすると、あの人はまだだめになってはいませんわ! ただ自暴自棄になっているだけで、またあたくしが救ってあげられます……お兄さまはあたくしがいちばん信頼できる友達だってことを、信じようとなさらない、あたくしという人間を知ろうとなさらず、あたくしを一人の女としてしか見ていないんです。……あたくし、お兄さまを永遠に救ってあげたいのです』……最後の言葉を、彼女は涙とともに語った。涙が目からこぼれ落ちた」(p355~363)
ドミトーリイを心から心配し愛していたのはカテリーナかもしれない。しかし、ドミトーリイの魂はグルーシェニカに向かっている。
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